相続登記はやったほうがいい!?

《まずは事例から》
先日、金融機関さんから抵当権抹消登記のご依頼を頂きました。
登記簿を確認すると、抵当権はご自宅の土地と建物に設定されていて、土地の単独所有者になっているお父さんは少し前にお亡くなりになったですが、相続人への移転登記がされずにそのお父さんの名前のままでした。建物は息子さんの所有です。

このケースは、息子さんがお父さん名義の土地に自宅を新築し、そのとき住宅ローンを組んで、土地(父所有)と建物(息子所有)に金融機関の抵当権が設定されました。その何年か後、ローンを返し終わり抵当権の抹消登記をしようとしたとき、土地の所有者であるお父さんは亡くなっていた、というものです。

抵当権の抹消登記は、土地の登記名義人がお亡くなりになっていますので先に相続登
をしなくてはなりません。
登記する順番は、①土地の登記名義人の相続による移転登記 ②抵当権抹消登記 です。
お客様に説明し、相続登記をしていただくようお願いしたところ、快く受けてくださいました。
偶然かもしれませんが、同様のケースが続きました。(続くときは続きます、もしかしたらこのケース、結構あるのでは…と感じました)

今回のような相続登記をせずに、亡くなった方の名義のままもし更にその相続人が亡くなってしまった場合、相続人が芋づる式に増えることもあり得ます。
そうなると大変です。なので、相続登記はなるべく早めに(忘れないうちに)していただくことをお勧め致します。

《固定資産税の相続届とは別です》
お客様のお話を聴いていると、「固定資産税はちゃんと手続きして払っているから!」とおっしゃられ、手続きは済んでいると思われている方がとても多いです。

そもそも、固定資産税の相続手続きと不動産登記の相続手続きは別の手続きです。

市町村の役所としては、固定資産税の支払いをする人を特定したいので亡くなった方の相続人に相続人届をするよう促します。その届出をした翌年以降、固定資産税をきっちり払い続ければ、問題が起きることはありません。手続きは終わっていると思われるのも仕方ないのかなと思います。

一方、登記簿の方は法務局が管理していて、相続登記の進め方は任意です。法務局から相続人に所有者が亡くなっているから相続登記の手続きをするようにと直接促すことはありませんし、手続きしていない状態が続いても特に何も言われません(長期に渡り手続きをしていないときに通知される制度はありますが、長期でなければ通知は来ません)。

《今は問題ないけど…令和6年4月1日からは相続登記が義務化されます!》

このように相続登記をしていなくても今はそれほど問題ありません。
ですが、相続登記未了の土地が国全体からみて増えてしまい社会問題化してきたことから法律が改正され、令和6年4月1日からは相続(遺贈)してから3年以内の手続きが義務化されます。正当な理由ないのに申請を怠ると過料に処せられるという罰則規定も設けられました。
つまり、不動産を所有している方は、登記簿の相続手続きを必ずして下さいね、という流れに変わるということです。

《登記の役割》
登記の役割は、不動産に関する権利(所有権や担保権等々)を公示する(世間一般に知らせる)ことにあります。
不動産の取引には登記はとても重要な情報です。その時の状況にあった内容で登記がされていることは、自分の権利を他者に主張でき、大切な財産を守ることに繋がります。ご家庭の事情からすぐにお手続きできないこともあるとは思いますが、相続(承継)があった際は早めにお手続きをすることをお勧めいたします。

我が家はどうかな、どうしたらいいかな、とご心配な方は司法書士にご相談してみてください!